初心者向けに胸の筋トレ“ベンチプレス”を解説

筋トレ初心者からの「胸を鍛えたい」「腕の筋肉を太くしたい」というお話しが多いです。腕は、最も有名だと思われる筋トレ種目・アームカールの存在から、初心者が真っ先に鍛える部位なのでしょう。私も筋トレ開始直後にやったのが、ダンベル・アームカールでした。

そして、鍛えると胸板が厚くなるのが大胸筋です。胸だけではないけれど、逆三角形の格好良い体型も大胸筋の役割が大きいといえます。胸(大胸筋)を鍛えたいと考えている方が多い理由なのでしょう。そのような方に、多くのジムやスポーツクラブで行える種目“ベンチプレス”を、胸のトレーニングとしてお勧めします。重そうなバーベルを使うことから、初心者に敬遠されがちな種目かも知れませんが、正しい方法と適切な重量を守れば、安全にトレーニングができます。筋トレ愛好家にベンチプレスが人気の理由は、競技性のほか、効果的に胸を鍛えられるからです。ベンチプレスを続ければ、きっと格好良い胸を手に入れられるはず!


(“初心者向けベンチプレス解説〜胸の効果的なトレーニング”解説映像)

@セーフティスタンドを使おう

ベテランでも初心者でも同じですが、万が一のトラブルはあります。トレーニング中に疲労が溜まって潰れてしまう(バーベルを持ち挙げられなくなる)こともあるでしょう。自信がある方でも1年に1回くらい「ヒヤッ」っとする瞬間はあるはずです。運が悪いと首にはまって亡くなってしまうことも・・・。そのような時、防護器具“セーフティスタンド”を利用していれば怪我のリスクが大幅に減らせます。潰れた際に、バーベルの身体への落下を防いでくれますよ。必ずセーフティスタンドを利用するようにしましょう。もしセーフティスタンドがない場合、知人やジムのスタッフに“補助”をお願いしましょう。補助とは、潰れたときにバーベルを支えて手助けをすることです。「ベンチプレスの補助をお願いします」と声を掛けるといいです。

セーフティスタンドは利用しよう

(“バーベルベンチプレスの補助”参考映像、後ろに立っているのが補助人)

A肩甲骨を寄せて、胸を張る

ベンチプレスの正しいフォームを解説します。ベンチ台に寝たら、背中の肩甲骨を寄せましょう。肩甲骨を寄せると、自然に“胸を張る姿勢”になります。そして、同じく自然に“肩が後方に移動しベンチ台に付く姿勢”になりますよ。肩甲骨を寄せる動作がイマイチ分かり難いときは、胸を張る動作をしてみましょう。すると、肩甲骨が寄って、肩もベンチ台に付くはずです。

背中の肩甲骨が正しく寄せられていないと、肩が前に出てしまい、ベンチ台との間に隙間ができます(下記画像に注目)。 肩甲骨が寄せられてない状態は、胸よりも肩にベンチプレスの負荷が掛かってしまいますよ。胸を正しく鍛えられないうえ、肩を痛めるリスクが高まるので注意しましょう。

ベンチプレスは肩甲骨を寄せる

Bバ−ベルシャフトを握る手幅は、肩幅より広めくらい

ベンチプレスの手幅は、肩幅よりも少し広めくらいがいいです。バーベルシャフト(棒)を肩幅に握り、拳(こぶし)を1つ分だけ外側にずらした位置が良いでしょう(下記画像を参考)。この手幅も“肩甲骨を寄せる”姿勢と同じく、胸を適切に鍛えるためです。手幅が狭くても広くても、胸のトレーニング効果が少なくなり、肩や腕の負荷が増えてしまいます。肩や腕を痛めるリスクが高まるので注意しましょう。

100Kgや更に重い重量のベンチプレスをやっているジムの常連さんから「手幅を広げると重量が増える」とアドバイスを貰うことがあります。間違ったアドバイスではありませんが、胸を鍛えたい目的の方には不要ですよ。より高重量を挙げられる代わりに肩や腕の怪我リスクを高めてしまいます。初心者は、“肩幅より少し広め”に握りましょう。

ベンチプレスの手幅は肩幅より少し広め

C乳首の辺りにバ−ベルを降ろして、軽くタッチさせる

バーベルシャフトを降ろすとき、胸の乳首の辺りに降ろしましょう。“みぞおち”から“乳首”の間でも構いません。乳首よりも上、つまり首側へ降ろすと、肩への負荷が高くなるので避けた方がいいです。適切な重量でベンチプレスをやっているなら、胸に軽くタッチさせるまで降ろしましょう。きっちりと胸まで降ろすことで、負荷が高まり効果が増します。適切な重量は、10回くらい上げ降ろしできる重量です。

体重60Kgから70Kgの成人男性は、初めてのベンチプレスで50Kg前後を挙げられるそうです。50Kgを1回挙げられるならば、35Kgで10回くらいやれると思います。初めてのベンチプレスのメインセットは、適切な重量という意味で30Kgや35Kgが目安になります。

ベンチプレスは乳首に軽くタッチさせる感じに降ろす

D腰をベンチ台に付け、足裏は床にベッタリと付ける

手幅を広めに握る常連さんは、腰を浮かせて(足を)つま先立ちするフォームを勧めてくることがあります。これも高重量を挙げやすくする姿勢(ブリッジ)で、間違いではありません。しかしながら、胸を鍛えるトレーニングには不要ですよ。ジムに長く通って「記録を伸ばしたい」と思った時に採用するようにしましょう。ベンチプレスのやり始めでは、腰をしっかりとベンチ台に付け、足裏も床に付けるようにしましょう。

ベンチプレス初心者は腰をベンチ台に付ける

E10回やれる重量で3セットか4セット、週に2日くらいやろう

1セット目よりも2セット目、2セット目より3セット目のほうが疲れて、バーベルを挙げる回数が減ります。平均的な成人男性の初めてのベンチプレスが50Kg位ですから、1セット目と2セット目に35Kg、3セット目を30Kgなどにしてもよいですよ。余力があるなら、4セットくらいやると胸のよいトレーニングになります。初めは強い筋肉痛になるから、週に1日しかできないかも知れません。もし慣れて、筋肉痛がすぐに回復するようになったら、2日間か3日間の休養を挟み、週に2日くらいベンチプレスをやってみましょう。疲労がなければ、1日や2日間の休養を挟んで1週間に3日やってもいいです。

肩や腕の怪我リスクを抑える方法を解説しましたが、それでも痛める時には怪我をします。筋肉痛ではない“嫌な痛み”が現れた時は、素直に休みましょう。無理をしてトレーニングを続けると、悪化させてしまいかねません。肘や肩周りのスジや関節の痛みを悪化させると、数ヵ月間も長引くことがあります。早めに休養を取り、治すことが大事です。2週間の休養でも治らないケースには、整形外科などの病院の受診をお勧めします。