【自己責任】懸垂スタンドよりも良い?懸垂バーを安価に自作!

ウエイトトレーニング愛好家が好む種目の1つに“懸垂”があります。ひとくくりに“懸垂”といっても順手懸垂、逆手懸垂、ワイドグリップ懸垂、ナローグリップ懸垂がありますよ。負荷を高めるため、ダンベルやプレートを身体に巻きつけて行う“加重懸垂”もありますね。腕立て伏せや腹筋(クランチ)の次に初心者が始めるイメージがあるけれど、懸垂はとても優秀な筋トレ種目です。ウエイトトレーニングを長年続けている方にも懸垂愛好家が多いでしょう。私もそんな懸垂を続けている一人です。

そこで、今回、自宅トレーニング器具として使う自作懸垂バーを紹介します。自己責任でメンテナンスや使用方法にご注意頂く必要もありますが、捨てる自転車があれば数千円で作れますよ。利用する自転車の状態によりますが、私が製作したものは体重75Kgの身体に20Kgプレートを結んだ加重懸垂でも問題ありません。グラグラと揺れる既成品の懸垂スタンド(チンニングスタンド)よりも使い心地がいいです(笑)。


(“宅トレ場に懸垂バーを自作〜自転車パーツを使って筋トレ器具製作”映像)

(“自作懸垂バーを鉄棒で補強〜宅トレ用に器具製作、加重チンニングも可”映像)

@廃棄自転車を利用した脱着式の懸垂バー

下記画像は、私が製作した自作懸垂バーです。廃棄する自転車ハンドルを流用して作りました。ボルトを緩めると懸垂バー部分(手で握る部分)を換装できますよ。上写真はワイド懸垂が可能な1m幅の鉄棒入り25.4mm径単管を装着した状態。下写真は、幅55cmの自転車ハンドルをそのまま流用した状態です。手幅の短いナロー懸垂限定になる自転車ハンドルは、湾曲具合が懸垂向きだといえます。もし1m幅の自転車ハンドルがあったなら、ワイド懸垂にも対応できる最高のバーを製作できるでしょう(笑)。

自転車ハンドルを利用した自作懸垂バーを天井の梁や柱に取り付けます。懸垂バーは、人の体重が加わり上下に揺れます。加重懸垂も行うので頑丈な梁に取り付けるといいでしょう。梁に取り付ける部分から懸垂バーを脱着できるようにしました。使用時以外に取り外すことで、邪魔にならない工夫です(上写真)。邪魔にならないのは、既成懸垂スタンド(チンニングスタンド)よりも優れたポイントですね。因みに、1m幅の25.4mm径単管には、補強のための19mm径鉄棒を入れました。体重75Kgに20Kgを加えた加重懸垂(総重量95Kg)でも湾曲しない強度です。

自作懸垂バー、ワイド向け1m単管ジョン
自作懸垂バー、ハンドルバージョン

A自転車ハンドル・自作懸垂バーの概要

解説済みの写真2枚から概要が分かると思いますが、あらためて図解しましょう(下画像)。天井の梁(柱)に25.4mm径単管を取り付けます。ぶら下がって身体を揺らしても簡単に単管が抜け落ないうに強靭に固定すべきですね。単管にネジや金属ピンを打ち込み、梁にネジ止めしている固定金具に引っ掛かるようにしました。梁(柱)が折れてしまわない限り、総重量100Kg程度で懸垂をやっても抜け落ちないでしょう。トレーニング中の事故や怪我を減らせるよう注意して懸垂バーを製作します。

梁に固定した25.4mm径単管から(脱着可能な)懸垂バー部分が抜け落ちないよう、2本の金属ピンを挿します。金属ピンは、廃棄自転車の泥除けカバーを固定する直径5mmほどの金属棒を切り出して利用しました。2本を挿させば、強度的に問題ないと思います。このピンを抜くことで、梁に固定した単管から懸垂バーを脱着できますよ。

自作懸垂バーの概要図

B自作懸垂バー製作の材料、道具

自作懸垂バーを製作するにあたり、材料をリストアップしてみました。使わなくなった自転車を流用しますから、新規に購入する部材は千円ほどで済みます。

道具は、25.4mm径単管への穴あけ作業に電動ドリル(ドライバー)を使います。ホームセンターで穴あけ作業を代行してくれるかを知りませんが、この際に電動ドライバーを購入してしまうのも手でしょう(笑)。1万円ほどの電動ドライバーを用意しておけば、パワーもあり充電池も長く持つから重宝するはず。ドライバーのほか、先端のピットをドリルや金属タワシに付け換えれば様々な用途に使えますよ。単管の切断にはグラインダーが便利ですが、百均で購入できる金属切断用ノコギリ(カナノコ)でもいいです。ネジを締めるドライバーの他には、天井に単管を固定するために脚立を使いますよ。不要な自転車分解には、六角レンチやモンキーレンチが要ります。

【材料】
不要な自転車 1台:
ハンドル部と泥除けカバー固定の金属棒を流用

25.1mm径単管 2m:
梁に固定する部分(約40cm)と懸垂バー部(1m)に切断(\400-/2m)

19mm径鉄棒 約1m:
25.1mm径単管に挿入して補強(\500-/90cm)

単管固定金具 3つ:
25.1mm径を梁や天井に固定(\35-/1つ)

適当なネジ:
金具を固定するネジ

【道具】
グラインダー:
単管と自転車泥除けカバー固定の金属棒を切断(百均のカナノコでも可)

電動ドリル(ドライバー):
単管に穴あけ、ネジ締め用途

プラスドライバー:
不要な自転車の分解、ネジ締め用途

六角レンチやモンキーレンチ:
不要な自転車の分解

脚立:
天井付近の作業に使用

自作懸垂バーに使う材料、不要な自転車や単管、鉄棒など

C25.4mm径単管を切断

長さ2mの単管から天井の梁に固定する“約40cm”と、ワイド懸垂用バー“1m”の2本を切り出します。切り出しにはグラインダーが便利ですが、百均で購入できるカナノコ(金切り鋸)でもいいでしょう。有料で切断をしてくれるホームセンターもありますが、細めの単管だからカナノコでも難なく切れてしまいます。切断したら、自転車ハンドルと入れ換えられること(径がピッタリか?)を確認しましょう。

25.4mm単管をグラインダーで切断
切断した単管を自転車ハンドルと換える
百均で買えるカナノコでも切断できる

D持ち手の単管補強に“鉄棒”を挿入する

25.4mm径単管だけで懸垂をやると、数回で曲がってしまいました(笑)。体重(75Kg)だけで行う懸垂でさえ耐えられません。そこで、補強に19mm径の“鉄棒”を単管に挿入しましたよ。単管のようなパイプではない鉄棒は、中が詰まった本当の“鉄の棒”だから高強度です。勢いよくやる20Kg加重懸垂(総重量95Kg)ですら、湾曲する気配がありません。いっそうのこと鉄棒だけで良いような気がしますが、自転車ハンドルへの取り付けに太さが足りません。細くて握りにくいこともあり、単管に挿入することにしました。

19mm鉄棒の25.4mm径単管への挿入には、コツがあります。そのまま挿入すると、ゆるいから懸垂で揺れる度に中の鉄棒が動いてしまいますよ。安全のため、接着剤や何かで固定する必要があります。接着剤固定でも良いのですが、下写真のように25.4mm単管を“くの字”に若干湾曲させると、キツくなって固定できます。

強度を補強するため単管に鉄棒を挿入する

E天井固定の単管とハンドルに、ピンを挿す貫通穴をあける

長さ約40cmの25.4mm径単管を天井の梁や柱に固定します。固定した単管に挿し込んだハンドル部が抜けないように、金属ピンを挿す穴を2ヶ所にあけますよ。私は、廃棄自転車から切り出した5mm径の金属棒をピンに流用しました。少し大きな6〜7mm径の貫通穴をハンドル部と単管にあけました。単管にハンドル部を挿入させた状態で貫通穴をあけるといいでしょう(下写真)。

電動ドリル(ドライバー)を使い、小さな径のピット(取替え式の先端)から1段ずつ大きなピットに替えて穴をあけるとスムーズに作業が進みます。5mm径よりも太いピットがない場合、仕方がないので棒状のヤスリで開口部を広げましょう。あまりお勧めできませんが、5mm径ピットでグリグリやっても開口部を広げられます(笑)。

ハンドル部のパイプの長さは約20cmです。穴位置は、単管の下部(ハンドル側)から5cmくらいの場所と15cmくらいの場所にあけるといいでしょう(私の廃棄自転車ハンドルの場合)。

天井固定の単管とハンドルパイプに貫通穴
天井固定の単管とハンドルパイプに貫通穴
天井固定の単管とハンドルパイプに貫通穴

Fハンドル部(懸垂バー)を固定するピンの切り出し

廃棄自転車の泥除けカバー固定の金属棒から、2本のピンを適当な長さに切り出します。長さは15cmくらいが適当かも知れません。短いと懸垂の振動で抜けてしまい危険ですから注意しましょう。グラインダーが切断に便利ですが、単管と同様にカナノコでも良いです。切断し終えたら、天井に取り付ける単管にハンドル部を挿し込んで貫通穴に問題なくピンが通るかを試しましょう。穴がキツい場合、貫通穴が広がるようドリルや細いヤスリで削って修正します。

単管とハンドルを固定するピンの切り出し
単管とハンドル部をピンで固定

G脱落防止:単管に貫通穴をあけてピンを挿す

天井の梁(柱)に取り付ける25.4mm径単管に、追加で貫通穴を2つあけます。ハンドル部を固定するピンを挿す穴とは別ですよ。ハンドルを挿入した時にパイプが重ならない部分、単管の上部にあけましょう。写真を参考に作業を進めて下さい。

泥除けカバー固定の金属棒の残りから、2本のピンを新しく切り出します。先に切り出した2本と合わせて、ピンは合計4本になります。電灯固定の金属棒から切り出してもいいですよ。単管を梁(柱)に固定する金具から、懸垂の衝撃で抜け落ちるのを防ぐ目的です。頻繁にこのピンを抜き差ししません。ピンの代わりに長いネジや釘を挿してもいいでしょう。切り出した2本のピンを、単管上部にあけた貫通穴に挿します。

単管の上部に貫通穴を2つあける
ピンを切り出して貫通穴に挿入

H天井の梁(柱)に取り付ける

天井の梁(柱)に長さ約40cmの25.4mm径単管を取り付けます。当然ですが、取り付ける梁(柱)は、十分に太く頑丈でなければなりません。Ω型の取り付け金具を使いネジ止めしましょう。私は写真の通りに3つの金具を使いました。上から2つの金具の取り付け位置は、「G脱落防止:単管に貫通穴をあけてピンを挿す」で挿したピンにピッタリと引っ掛かるように固定すると脱落を防げるでしょう(下写真)。しっかりと天井の梁(柱)に取り付けられれば、自作懸垂バーの完成です。

自作懸垂バーを天井の梁(柱)に取り付ける
自作懸垂バーの完成
2本のピンを抜くと、懸垂バーを脱着できる

I自作懸垂バーの注意点

自転車ごとに仕様が若干違うのでしょうから、注意点もマチマチだと思います。“自作”の懸垂バーであるから、各々が注意してトレーニングに利用しましょう。「自己責任」のひと言に尽きます。特に、懸垂バーへ大きな負荷を掛ける加重懸垂や、反動を使った動作には注意して下さい。

本Webぺージで解説をした自作懸垂バーについて、1つ気になる点があります。ハンドル部の繋ぎ目です。溶接と思われる繋ぎ目があり、「加重懸垂で破損するのでは?」との疑念を少し持っています(笑)。運転中に破損すると命の危険もある自転車ハンドルは、しっかりと頑丈に作られていると思いたいです。実際に20Kg加重懸垂(総重量95Kg)を何セットもやった結果、異常はありませんでした。しかしながら、負荷の大きなトレーニングには、「破損の危険があるかも?」と、万が一に備えておくのがいいのでしょう(笑)。

自作懸垂バーの弱点?ハンドル部の繋ぎ目が加重懸垂で心配