CrossFit(クロスフィット)で注目される“クリーン”

2017年から2018年にかけてのこと、ジムやスポーツクラブの利用者が増えています。難易度が高く珍しい筋トレ種目“クイックリフト”、ウエイトリフティング系種目の“クリーン”をやる方をよく見掛けるようになりました。トレーニングブームが理由なのでしょう。心当たりは、CrossFit女性トレーナー・Aya氏が1年ほど前から脚光を浴びていたこと。テレビでCrossFit特有のハードなトレーニング内容が放送され、WebにもAya氏に師事する(CrossFitに取り組む)若手女優の話題がたくさんあがっています。行きつけの公営ジムに占める若手女性利用者数も増えていますから、筋トレブーム(CrossFitブーム?)に間違いないのでしょう。私は「ジムの女性利用者は2割ほど」と解説することが多いのですが、2017年後半から3割や4割まで上昇している状況です。

CrossFit定番のクイックリフト(クリーンやスナッチなどのウエイトリフティング系種目)で序盤に身体を暖めるのが私のお決まりメニューです。2017年後半、見ていた利用者から「クロスフィット(CrossFit)ですか?」と質問を受けることが増えました。そして、冒頭のクリーンのほか、バーベルを担いだスクワット、デッドリフトをこなす女性利用者も増えていますよ。もちろん、それらをやる男性利用者はもっと増えている状況です。有名トレーナーAya氏の影響が大きいのでしょう。ハードなクロスフィット(CrossFit)の流行は、“ウエイトリフティング系種目”への取り組みを促していると考えます。ジムの空気がクリーンの流行を感じさせます。“クリーン”が日常のトレーニング種目になる日も近いかも知れませんね。

難易度の高いトレーニング種目ですから、通常、直ぐに“正しいクリーン”をやれません。CrossFit(クロスフィット)のトレーナーやウエイトリフティング経験者に指導を仰ぐべきですが、指導者が少ない現状、Web映像から“見よう見真似”で行うケースが多いのでしょう。脚力を使い“全身運動効果”を狙うのがクリーンの醍醐味といえます。しかしながら、腕力に頼ったフォームを多く見掛けますね。そして問題は、“キャッチ時に後方重心になること”です。バーベルを持ったまま後方に転倒し兼ねない危険な状態ですので、フォームを見直すべきでしょう。周囲の利用者を巻き込み、自身のみならず他人へも怪我のリスクがあるから正しいフォームが必須です。初心者にクリーンを解説するのが本Webページの趣旨です。いくつかの注意点を守って頂ければ、安全性は高まるでしょう。そして、CrossFit(クロスフィット)風トレーニングにも役立つと考えます。

CrossFit(クロスフィット)男性のクリーン
CrossFit(クロスフィット)女性のクリーンう

(“女性クロスフィッターのデッドリフト、クリーン、ジャーク”参考映像)

@滑り止めを使おう【準備】

クリーンやスナッチなどのクイックリフトには“滑り止め”を使いましょう。瞬発力を養うトレーニングですから、バーベルを握る手に瞬間的に大きな負荷が加わります。慣れたベテランでもバーベルシャフトが“すっぽ抜ける”ことがありますよ。怪我防止のほか、バーベル落下で床を傷めないためにも滑り止め対策をしましょう!

CrossFit(クロスフィット)やウエイトリフティングで使われる滑り止めは、粉末の“炭酸マグネシウム”です。「チョーク」と呼ぶこともあります。下記写真のように、私も自宅トレーニング場で使っていますよ。バーベルシャフトを握る際、手のひらや指が触れる部分に炭酸マグネシウム粉末を塗り込むといいです。滑り止め効果は抜群で、ガッチリとバーベルシャフトを握れるでしょう。ちなみに、私は炭酸マグネシウム粉末1Kgを1,300円でネット購入しました(2017年)。トレーニング頻度にもよりますが、趣味の筋トレに2〜3年分の量ですからお勧めです。

滑り止めに定番の炭酸マグネシウム粉末ですが、「粉末を落として室内を汚したくない」「ジムで使用を禁止されている」という事情もあるでしょう。そのようなケースには、“作業用ゴム手袋”がお勧め。ホームセンターが販売する300円ほどのゴム手袋を使えば、バーベルシャフトをガッチリと握り込めるでしょう。私は、デッドリフトやロウイング、ダンベル種目と懸垂にTOWA社製のゴム手袋を愛用します。その他には、粉末が出ない“液体チョーク”も販売されていますから、自分と相性のよいものを選ぶといいです。

滑り止めに炭酸マグネシウムを手に付ける
ゴム手袋もバーベルを握るのに便利
私の使う市販のゴム手袋

A靴底が硬いシューズを使おう【準備】

「下半身の筋トレを重視するなら、ラニングシューズは不向き」「ランニングシューズの“クッション”が足や腰のトレーニングを阻害」と、私はたびたび解説をしています。具体的には、高重量バーベルを扱う筋トレ種目“デッドリフト”と“スクワット”、“クリーン”や“スナッチ”にランニングシューズは不向きです。床から身体を押し上げる足の力がクッションに吸収され、バーベルを持ち上げる力として効率よく利用できないからです。感覚としては、柔らかい砂浜を走るイメージ。はやく走ろうとしても地面を蹴る力が砂に吸収され、思い通りに足を運べないのに似ています。別目的のトレーニングにはなり得るかも知れませんが(笑)、とにかく、ランニングシューズは不向きです。

では、どのような靴が良いのか?クリーンやスナッチに“靴底が硬く薄い靴”を選ぶといいでしょう。私はフットサルシューズを愛用します(下記画像)。踵(かかと)もつま先も厚さ1〜2cmほどの靴底です。クッションが入っておらず、一様に硬いですよ。近所の靴屋やスーパー靴売り場であまり見掛けませんから、Web購入が早いでしょう。フットサルシューズに拘らなくても良く、クッションがなく硬い靴底、薄い靴底の製品なら問題ありません。CrossFit(クロスフィット)向けシューズでもいいでしょう。

見た目を気にしないなら、大工さんが履く“足袋靴”や“地下足袋”でもいいです。クッションがない薄い靴底ですから、優秀なトレーニングシューズといえるでしょう(笑)。真面目な話、私はジムで何度か足袋靴でスクワットをやっている方に遭遇しました。決して愛用者は多くありませんが、クリーンやスナッチを含めたバーベルを扱うトレーニング種目に適した履物(シューズ)だと思っています。足袋靴を採用しないまでも、同じような靴底のトレーニングシューズを探すといいでしょう。

本格的にクリーンやスナッチに取り組むのなら“ウエイトリフティングシューズ”が選択肢の1つです。2万円くらいからの価格ですが、クリーンやスナッチなどのウエイトリフティング系に最適の靴といえるでしょう。重量挙げ競技者が使用している靴だから、使い勝手の良さは間違いないはず。

クリーンとスナッチにフックグリップ
クリーンとスナッチにフックグリップ

Bフックグリップを習得しよう【必須スキル】

慣れないと親指が痛い、下記写真の握り方を“フックグリップ”と呼びます。指のなかで一番太く、力強いのは親指です。その親指でバーベルシャフトを保持し、ほかの指で親指を押さえて固める握り方ですね。フックグリップなら、滑り止め対策と相まってバーベルシャフトを強く握れるでしょう。瞬間的に大きな負荷が手に加わっても、バーベルシャフトがすっぽ抜けにくくなります。

クイックリフト(クリーンやスナッチ)を続けるなら、フックグリップが必須です。初めは親指が痛くても、少しずつ慣らすことで習得できます。例えば、クリーンを5セットやるなら、初めは1セットだけフックグリップで握るといいです。1セットなら問題なく耐えられるようになったら、5セットのうち2セットをフックグリップに替えてみましょう。その次は5セットのうち3セットを・・・。この方法で、いずれ全てのセットをフックグリップで握れるようになるはず。親指は、もう痛くなりません。

クリーンとスナッチにフックグリップ

C(太もも位置からの)クリーンのやり方

初心者が取っ付きやすいのは、“太もも位置からあげるクリーン”です。床からあげるクリーンのファーストプル(デッドリフト動作)を省いたものです。微妙に違うというご指摘もありそうですが、このクリーンの呼び名に“パワークリーン”や“ハングクリーン”があります。混乱を避けるため、これらの呼び名を使わず“太もも位置からあげるクリーン”として解説を続けますよ。写真を使い詳しく解説をします。

ベンチプレスの手幅は肩幅より少し広め

【@ クリーンの開始姿勢】
本Webページで解説する“太もも位置からあげるクリーン”に、まずは写真@のようにバーベルを持って立ちましょう。デッドリフトでバーベルを持ちあげた状態です。バーベルシャフトをフックグリップで握ります。肩周りの柔軟性を考慮し、キャッチ時に無理のない手幅で握ります。多くの場合、デッドリフトの手幅より少し広めがいいでしょう。足幅も(ナローの)デッドリフトと同じか、少し広めで良いです。

“床からあげるクリーン”は、床からデッドリフトで写真@の状態(太もも位置)に引き上げる動作(ウエイトリフティングでは“ファーストプル”と呼ぶ)から連続しておこないます。床からあげることで加速が得られ、より高重量をあげられますよ。そして、動作が1つ増えることで難易度が高まります。初心者は、この動作(デッドリフト = ファーストプル)を省き、バーベル重量を落として“太もも位置からあげるクリーン”から始めるといいでしょう。

【A〜D セカンドプル】
バーベルを持ち直立した姿勢(写真@)から、写真Aのように上体を少し前傾させ、膝を少し曲げて腰を落としましょう。“太もも位置からあげるクリーン”は、この動作から始めます。

前傾姿勢から、床を蹴りあげる足の力を使ってバーベルを跳ねあげます(写真B)。ジャンプする動作に似た足の使い方です。曲げていた足を伸ばすとともに、前傾させた上体を起こしてバーベルを加速させます。これらの動作を力強く瞬時に行うと、バーベルが「ふわっ」と浮く感覚を得られるでしょう。脚力のほか、全身を使って跳ねあげるから瞬間的に写真Cのように仰け反るフォームになりますよ。ウエイトリフティングでは、腰付近から跳ねあげる一連の動作を“セカンドプル”と呼びます。

写真Dは、全身を使って跳ねあげたバーベルが「ふわっ」と浮かんで上昇している状態。このとき、あまり腕の力を使いません。身体から離れないように手を添えてアシストする感覚です。

曲げていた足を伸ばしてジャンプする動作、同時に上体を起こしてバーベルを加速する動作がうまくできないと、バーベルが十分に上昇しません。その結果、腕力を使って引き上げる動作をしてしまいます(よくない動作)。全身を使って跳ねあげるセカンドプルは、クリーンを行う上でとても大事なポイントです。

・足が床から離れるジャンプ動作
セカンドプルは、足の屈伸動作を伴います。いわゆる“ジャンプ動作”です。バーベルを持ったまま、実際にジャンプをしても構いません。ジャンプで跳んだあとの着地のとき、足幅をクリーン開始時よりも広めにしてもいいですよ。高重量のクリーンは、キャッチのあとに(フロント)スクワットに似た動作になります。広めの足幅なら、楽にしゃがみ込めるはず。足が床から離れるジャンプ動作をするか否かは、着地の足幅とともに、本人のやり易さで決めれば良いです。

【E〜G キャッチ】
跳ねあげたバーベルを身体で受ける動作を、ウエイトリフティングでは“キャッチ”と呼びます。跳ねあげたバーベルが頂点に達したらキャッチします。セカンドプルで身体が仰け反った姿勢になりますが、キャッチする際は、写真Eのように僅かに前屈みの姿勢にしましょう。このとき、バーベルの衝撃に備え膝を少し曲げます。跳ねあげたバーベルシャフトの下に瞬時に潜り込む動作を身につけましょう。

キャッチのとき、バーベルシャフトを肩の三角筋と鎖骨に乗せます。手はシャフトを握ったままでも良いですが、ひらいて“パー”の状態にして添えるだけでもいいです。肩関節と手首関節の柔軟性が乏しいケースだと、ひらいて“パー”の状態か、それに近い状態(半握り)のほうが手首への負荷が少ないでしょう。シャフトを握り込んで手首関節を痛めたなら、肩周りの柔軟性を高めるとともに“パー”か、少しひらいた“半握り”でキャッチするといいでしょう。肩関節の柔軟性が十分なら、鎖骨と三角筋にしっかりとバーベルシャフトが乗って安定しているはず。ガッチリと握り締めなくても落下の心配はありません。

セカンドプルの力加減によって、バーベルがあがる頂点の高さが変わります。ほど良い高さに調整して下さい。高すぎる位置のキャッチは、仰け反ったフォームになり後方への転倒リスクが増します。そして、初心者はキャッチ時に仰け反った姿勢になることが多いです。仰け反った姿勢は、後方に重心が移っています。バーベルを持ったまま転倒し兼ねない危険な状態だといえますね。写真Eのように“少し前屈み”を心掛けてキャッチしましょう。そして、若干の前屈み姿勢をとる(かがむ)ことで、跳ねあげたバーベルシャフトの下に瞬時に潜り込む動作(後述のスクワット動作)が少なからず伴います。

・キャッチ時に肘をあげる
バーベルシャフトを手と肩の三角筋、鎖骨の3点でキャッチするとき、可能なら、上腕が床と水平になるくらいに肘をあげます。理想は“床と水平”ですが、困難なら可能な限り肘をあげて下さい。上腕が床と水平になるくらい肘をあげれば、手首関節への負荷が軽減し故障リスクを減らせます。肘をあげられるか否かは、肩関節の柔軟性次第です。

・スクワット動作
キャッチのあと、スクワット動作をするか否かは、クリーンの重量と好みの問題です。重めの重量でクリーンをやるケースだと、バーベルがあがる頂点が低めになりますから、しゃがみ込んでキャッチすることになるでしょう。バーベルシャフトの下に潜り込むために、おのずと若干のスクワット動作が加わります。

写真FGは、キャッチのあと、衝撃を吸収するために、さらにしゃがみ込んでスクワット動作をしています。キャッチの状態から“さらにしゃがみ込んだスクワット動作”は、バーベルの衝撃を足で吸収する効果があります。動作も安定するでしょう。「やり易い」と実感できるなら、安定したクリーン動作にスクワット動作を取り入れるのもアリだと思います。ちなみに、 ウエイトリフティングでは、この動作を“スクワットスタイル”と呼びますよ。「スクワットスタイルのクリーン」「スクワットスタイルのスナッチ」の使い方です。そして、低位置でキャッチをしてスクワット動作(立ちあがる)に移行するケースを“ロークリーン(ロースナッチ)”と呼びます。

【H〜I キャッチのあとに立ちあがる】
バーベルを高く跳ねあげれば、立ちあがる動作は余りありません。若干の前傾姿勢でキャッチしていますから、曲げた足を伸ばし上体を起こす動作だけです。

スクワット動作でしゃがみ込んでキャッチした場合。そして、キャッチのあとに更にしゃがみ込んだケース(写真EFG)に、立ちあがる動作をします。(フロント)スクワットで立ちあがる動作と同じです。

【J〜L バーベルを降ろす】
バーベルを投げ落とせる環境なら不要です。しかしながら、多くのジムやスポーツクラブが、バーベルの投げ落としを禁止しています。一般的なトレーニング環境でクリーンを行うなら“バーベルを降ろす動作”が必須でしょう。この動作は、僧帽筋のトレーニング・シュラッグに似た効果があります。そして、負荷が加わる前腕のトレーニングにもなりますよ。

セカンドプルの際、瞬間的にバーベルシャフトを握る手に負荷が加わりますが、バーベルを降ろすときにも同様に加わります(写真L)。バーベルを降ろす動作に“フックグリップ”を使いましょう。そして、腕や僧帽筋の力で落下速度を抑えながら、大腿部に降ろします。バーベルが手からすっぽ抜けて床に落下させるリスクは、降ろす動作で最も高くなります。気を抜かず、しっかりと握りしめて下さい。

D初心者がおさえたい“クリーンの要点”

上記で解説した内容をよく読んで頂いたうえで、
・足と上体、つまり全身を使ってバーベルを跳ねあげるセカンドプル
・僅かに前傾した姿勢でキャッチする(バーベルの下へ潜り込む感覚)
を意識するといいでしょう。とくに前傾気味のキャッチを習得できれば、後方への転倒リスクを大きく減らせます。跳ねあげたバーベルシャフトの下に瞬時に潜り込む動作を身につけましょう。そして、全身を使ったセカンドプルを習得できれば、腕力に頼った誤ったフォームから卒業できるはず。クリーンであげられるバーベル重量も増やせるでしょう。下記は、クリーンの要点を解説した映像です。“足を使ってあげる感覚(ジャンプ)”と“キャッチの姿勢”を心掛けましょう。


(“クリーン初心者向け解説〜足で挙げることとキャッチが大切”解説映像)

Eクリーンに有効なストレッチ【肩周り&腰(股関節)】

クリーンの重要動作“キャッチ”に必要なのは、肩周りの柔軟性です。肩周りの柔軟性が不十分な場合、ストレッチに取り組みましょう。下記写真のように「スクワットラックに掛けたバーベルシャフトを利用して、片腕ずつキャッチのフォームを作る」のが効果的です。上腕が床と水平になるくらいから始め、(柔軟性が改善してきたら)もっと上がるくらいに力を入れてストレッチさせます。肩周りの柔軟性が特に乏しい場合、怪我をしないよう、無理のない範囲で上腕をあげるようにして下さい。下記に掲載した“動画”を見て頂くと分かりやすいでしょう。

本格的にクリーンやスナッチに取り組むなら、深くしゃがみ込んだスクワット動作が必要になるでしょう。後述する“踵が高い靴”とともに、腰周りや股関節の柔軟性が必要です。スクワットスタイルのクリーンは、フロントスクワットと同じフォームになりますから、筋トレでオーソドックスな(バック)スクワットと比べると腰や股関節の柔軟性が求められます。下記写真のようなストレッチに取り組むと良いでしょう。詳しくは、掲載した“動画”をご参考下さい。

クリーンのキャッチには肩周りのストレッチ
スクワットスタイルのクリーンには腰と股関節ストレッチ

(“クリーンをやる前のストレッチ〜肩や手首の準備運動〜”解説映像)

(“クリーンやスナッチ、スクワットによいストレッチ”解説映像)

Fトレーニング強度【レップ数・セット数・頻度】

ウエイトトレーニングは、一般的に「ギリギリ10レップやれる重量」「3セットくらいやると良い」と言われます。しかしながら、ウエイトリフティング種目のクリーンやスナッチは例外です。各セット、2〜4レップでも良いです。そして、セット数を多めにしましょう。目安として、5セット以上を繰り返すといいです。

「1セット3レップやるのが基本(疲労した終盤セットは2レップ)。1回のジムトレーニングでクリーンを6セット、スナッチを6セットやる。」というのが、いつもの私のトレーニングメニューです。連続してあげたいとき、1セット10レップ近くをやることも例外的にありますよ(下記動画は7レップ)。そして、心肺持久力やスタミナを重視するクロスフィット(CrossFit)は、多レップの傾向です。10レップくらいを連続してあげることも多いでしょう。ちなみに、冒頭映像の女性クロスフィッターは、パワークリーンを1セット9レップでやっています(映像からキツさが伺えますね)。全身を使うクイックリフトの多レップは、なかなかキツイものがあります(笑)。心肺持久力やスタミナ向上に間違いなく効果があるでしょう。

“CrossFit(クロスフィット)風トレーニング”なら、限界になるまで、脚力や握力が尽きて失敗しバーベルを落下させるまでやるのもいいでしょう。しかしながら、多くのジムやスポーツクラブが、バーベルの投げ落としを禁止しています。一般的なトレーニング環境でクリーンを行うなら“バーベルを確実に静かに降ろすこと”が必須ですね。過激なクロスフィット風トレーニングを控えるべきです。そこで、バーベル重量を抑え、中軽量のクイックリフトを高レップで行うといいでしょう。全身であげるクイックリフトの10レップは、中軽量でもそれなりに効果があるはず。

クイックリフトのトレーニング頻度は、ほかのウエイトトレーニング種目と同様に“週に2〜3回”がよいです。1度にクリーンとスナッチを合わせて12セットこなす私は、週に2回の頻度です。本格的にウエイトリフティングやCrossFit(クロスフィット)に取り組む競技者でない限り、週に2回や3回のトレーニング頻度が妥当でしょう。そして、トレーニング後に1日や2日の休養日を設けて次回に備えます。スジや関節、腰の不調に注意して不調なら長めの休養をとりましょう(必要なら治療して下さい)。


(“ハイクリーン60Kg〜クイックリフトは全身を使った筋トレ〜”映像)

Gウエイトリフティングシューズや中敷き【レベルアップ】

深くしゃがみ込むスクワット動作に“硬くて踵が高いシューズ”が最適です。いわゆる“ウエイトリフティングシューズ”がそうですね。あるウエイトリフティングシューズは、「ヒールの高さが4cm、ソールの厚さは1.5cm」ということだから、踵が2.5cm高くなるように作られています。ウエイトリフティング競技者が履くの靴であり、約2万円からの価格ですが、スクワットスタイルのクリーンやスナッチに最適です。

踵が高いシューズは足首の可動域を広げ、深くしゃがみ込むスクワット動作をスムーズにします。スクワット動作が容易になれば、しゃがみ込んだときに胸を張って背筋を伸ばすことも容易になるでしょう。深くしゃがみ込むクリーンやスナッチの姿勢が安定するから、より高重量をあげられるようになります。本格的にクリーンやスナッチに取り組むのなら、レベルアップも兼ねてお勧めのシューズです。

初歩のクリーンやスナッチから少しレベルアップさせたい場合に“かかと用の硬い中敷き”を使うのもアリでしょう。 私は、フットサルシューズに写真の中敷き(厚さ1.3cmのまな板から切りだした)を入れてウエイトリフティング種目に使用します。「ヒールの高さが2cm、ソールの厚さは1.5cm」の硬くて薄い靴底のフットサルシューズです。写真の中敷きを入れると、踵が1.8cm高くなります。ウエイトリフティングシューズに及びませんが、スクワット動作がスムーズです。中敷きの製作過程をビデオ映像(下記)に収めました。硬い素材なら何でもよく、木材でもいいでしょう。ほかの筋トレ種目にフットサルシューズを履き、スクワット動作に中敷き使えば、シューズは1足だけで済みますね。

スクワット動作にウエイトリフティングシューズが最適
フットサルシューズに硬い中敷きを使うのもよい

(“クイックリフト用の靴中敷きを自作〜クリーンやスナッチ用〜”解説映像)

H腰保護のトレーニング用ベルト【高重量対策】

トレーニング用ベルトの解説を付け加えましょう。筋トレ種目“デッドリフト”や“スクワット”、“シュラッグ”、“ロウイング”時に使用を勧めています。高重量バーベルやダンベルを扱う際に腰を保護する目的です。正確には「ベルトを巻くことで腹圧を高め、腰のトラブルを緩和するため」ですね。クリーンやスナッチにも、腰が不安なら使用すると良いでしょう。腰に不安がないケースでも、自体重くらいのバーベル重量を目安に、腰保護に巻くといいかも知れません。冒頭写真のクロスフィッター(クロスフィット競技者)も使用しています。

痛めてしまうとなかなかキレイに治らず、他のトレーニングにも影響するのが腰トラブルです。楽観視せずに用心してトレーニング用ベルトを装着しましょう。腰ベルトは、革製で硬く幅の広い製品を選べばいいです。5千円や6千円のベルトで問題ありません(2018年)。具体的にいうと、Web販売されているメジャーな製品“ゴールドジム”のベルトなどでいいでしょう。私も使用しています(下記画像)。

高重量のクリーンやスナッチにトレーニングベルト
ゴールドジムのトレーニングベルト

I服装

クロスフィット(CrossFit)や ウエイトリフティング専門のジムを別にして、一般的な公営ジムや民営スポーツクラブなら“運動しやすい服装”でいいでしょう。トレーニングに適したウェアを着用します。下記リンク先ページは、ジムやスポーツクラブに通うための“服装や靴、持ち物”の解説です。参考にして下さい。なお、クロスフィット(CrossFit)や ウエイトリフティング専門のジムの場合、ウェアやシューズが指定されているかも知れません。施設に問い合わせるといいでしょう。

ジムやスポーツクラブの服装・靴、持ち物

JCrossFit(クロスフィット)について

10項目の基礎運動能力心肺持久力スタミナ筋力柔軟性パワースピード連動性俊敏性バランス正確性を向上させるのがCrossFit(クロスフィット)トレーニングの目的といわれます。単なるウエイトトレーニングではなく、有酸素運動だけでもなく、両者を組み合わせた内容が特徴ですね。そして、CrossFitは次の3分野に分けて運動能力を高めていきます。

1.体操種目:腕立て、吊り輪、懸垂、逆立ちなど
2.ウエイトリフティング種目:バーベル、ケトルベル、ダンベルなど
3.心肺機能を鍛える種目:ランニング、バーピージャンプ、縄跳びなど

実践的といわれるCrossFitトレーニングは、多くのアスリートや俳優(女優)が取り組むほか、海外の警察や軍隊、消防士などのトレーニングにも採用されています。そして、発祥の地、米国では一般的な方々が取り組む“普通のトレーニング”の位置付けなのでしょう。流行前夜の日本国内ではありますが、今後、米国のようにCrossFitトレーニングがブームになるのかも知れません。